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ピアノの誕生 印刷

「楽器の王様」と賞賛されるピアノは、想像以上の長い歴史を持っています。その起源は現代から300年以上も遡った、西暦1700年代のヨーロッパに存在します。従って当然の事ながら、当時のピアノは現代の様な完成された楽器ではなく、あくまでも「弦を叩いて発音する」という発想を再現した楽器に過ぎず、言うなれば試作品の過程にある楽器だったのです。

ところが鍵盤という概念の出現は意外にも早く、ピアノより前に鍵盤楽器の前身として、「クラヴィコード」という楽器が誕生しています。このクラヴィコードは何と14世紀頃には、既に登場していたとされています。ところが著しく単純な構造で、音量も現代のピアノと比較しても相当に弱くで小さかったのです。

その代わりこの楽器の場合は鍵盤を縦に揺らすと、何とヴィブラートが可能なのです。因みにこのヴィブラート(vibrato)とはイタリア語で、声や音を美しく響かせる為に音の高さを僅かに揺らす奏法です。この様に現代のピアノでは不可能な機能を持つとして、現在でも世界中に愛好家が存在する楽器なのです。

その後17世紀になると鍵盤楽器の世界に、チェンバロ(伊:cembalo)が登場しました、因みにチェンバロはハープシコード(英:harpsichord)ともクラブサン(仏:clavecin)とも呼ばれ、要は国によって名称が異なるだけで実際には同じ楽器になります。このチェンバロの出現により、クラヴィコードとは比較にならない程、鍵盤楽器の音量は強化されました。その代わりチェンバロに於いては、ヴィブラート奏法等の音の強弱表現は不可能になったのです。

ところがこの楽器は、当時の貴族や上流階級の人々の関心を集め、世界各国で愛用される人気の楽器となったのです。

こうした経緯の後、鍵盤楽器の完成品としてピアノが、18世紀即ち1700年代初頭に誕生します。ところが発明したのは何故かドイツ人ではなく、イタリア人のバルトロメオ・クリストフォリです。彼がクラヴィコードとチェンバロの双方の長所を併せ持つ鍵盤楽器、これをイメージして着手して発明したのが現在のピアノなのです。

このクリストフォリの歴史的な大発明の恩恵により、数多くの偉大な作曲家が優れたピアノ曲を世に送り出し、遂にピアノは楽器の王様として世界中に普及するに至ったのです。
 

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